画家
高橋 一昭
フランスで絵画制作を続けて今年で45年になる。
印象派の画家達が光と色彩の豊かさを求めて外光の下で絵を描いたように、私も自然との対話を積み重ねてきた。私にとって絵画を生み出す原動力はこうした外光の中で集めて来た色彩の流れであり、それは私が生み出したものではなく自然が私に教えてくれたものである。
長年の記憶の中に堆積した数々の色達が私のパレットに並び、私の脳裏を自由に収縮と膨張を繰り返しながら駆け巡っている。画面の上で時には沈黙したかと思えば勢いを得たり、整然と並んだかと思えば拡散したりしながら、色彩の旅を続けてきた。作風に落ち着きを払おうとすると、どこからともなく吹いてくる風に心を持っていかれる。破壊から次なる創造へと私を駆り立てる疾風のようなものを感じながら。
半世紀もの間持ち続けて来た筆の流れや絵の具の重ね塗りに任せて、自然が教えてくれた色彩達の饗宴を描き続けたい。