高橋一昭氏とは2010年代初頭からの知り合いだ。私の2人の娘が日本語と日本文化にとても惹かれ、共通の友人が私達三家族を引き合わせたのでした。それ以来、私たち夫婦はフランス在住のこの日本人画家の絵を愛好しつつ、楽しんでいる。

彼の作品から受ける第一印象は、その色彩のシンフォニーが大きな喜びをもたらしてくれる事である。我が家のリビングルームの壁に飾られた2枚の絵を、毎日鑑賞している。

15 Juillet 2024

一つ目の大きな絵『Au jardin français』(2006年)は、我が家の裏手にある木々や花のある庭を抽象的なスタイルで表現したものだ。鏡に映ったようにお互いに完璧なイメージがリビングルームの大きなテーブルの両側に映っている。私たちは今、いつまでも輝き続ける空の下で、色とりどりの花々、荘厳な木々、無限の色合いを持つ緑の花壇に囲まれている。モデルとなった自然と作品のどちらがより明るく、カラフルで、生き生きしているのかわからなくなった。この牧歌的な絵は春を象徴している。

15 Juillet 2024

二つ目の小さな絵『Rythme automnal』(2016年)は秋を表現している。これは、彼がモンティニー・ル・ブルトンヌーのサン・マルタン教会から着想を得たものであり、鐘楼や数百年の石造りの壁が、秋の華やかな色に染まる木々の葉の向こうに見える。

また私達は、新・シュルレアリズム的な3枚のリトグラフ『Paysage en boite』(1999年)、『Colonne Morris』(2003年)、『Forêt de Versailles』(2010年)を、それぞれ3人の子供たちの寝室の壁に飾っている。

初期の新印象派的作品、新シュルレアリズム的な作品、そして止むことのない追求を続ける抽象などの作品を通して、私は彼が歩んだ道をたどっている。

最初のネオ・シュルレアリスムの作品が、私の好きな画家の一人であるルネ・マグリットを彷彿とさせるとすれば、2000年以降の抽象的な作品は、その特異性と力強さによって、画家の完全な成熟を示している。作品は明るく鮮やかな色彩に支配され、目を魅了し、心を揺さぶり、精神に至上の喜びをもたらす。対照的に数は少ないが、非常にダークで力強い他の作品もある。そこに人間の魂の奥底が映し出されているのを見ないわけにはいかないだろうか?これらの作品から発散され、作品のタイトルが控えめに暗示している精神性に私達が敏感に反応しないわけがないだろうか?彼の抽象的な作品の背後に、自然界にある無限の驚異を見ないわけにはいかないだろうか?

彼の絵画のタイトルは、それ自体が作品である。言葉の魔法が形や色と共鳴し、感覚、印象、感情、リズム、ハーモニーを余すところなく表現する。画家は詩人でもあるのだろうか?

彼の作品の原点は日本美術に強くインスピレーションを受けたものであり、彼の絵画の端に見られる未完成の性質は、その最も明白な表れのひとつであろう。彼の作品に思いを馳せる時、詩におけるギリシャ語の語源、 図形やリズム、そして彼らの言葉による創造、熱狂、神的な働きによる感情などを考えずにはいられない。高橋一昭氏の絵画はアジアと西洋の架け橋であり、違いを超えて私たちの心に深く響くのである。

ダニエル ボコブザ 2024年筆